2023ヴィンテージワインのご紹介 濱田玲央 2024年11月2日(土曜日)
ハマダヴィンヤード2023ヴィンテージ・ワイン3種をご紹介します。
2023年はそれまでの栽培法を大きく見直し、2022年の痛手からの回復を図った年であり、ハマダヴィンヤードにとって大きな転換点となる一年でした。
2022年は多雨が続く悪天候の影響を受けて夏の早い時期から病気が蔓延し、何とか食い止めようと努力したものの、最終的な収穫量が2021年の10分の1以下になってしまうというハマダヴィンヤード始まって以来最大の試練の年となりました。そんな中でも病気や厳しい気候を乗り越えたブドウたちから出来上がった2022ブランは、力強さを感じさせながらもエレガントな満足できる出来栄えであったのが救いです。皆様からご好評いただき、完売となったことを重ねて御礼申し上げます。
2023年は2022年の失敗の反省を踏まえて剪定と芽欠き作業の方針を転換し、一時的な収穫量は下がってしまうものの、風通しがよく病気に強い樹形を数年かけて作っていくことにしました。北海道としては異例の夜温が下がらない猛暑残暑や苛烈な鳥害など初体験のトラブルにも見舞われましたが、病気を防ぎ収穫量を回復させることが出来たのは、大きな成果でした。
① バッカス2023 アルコール度数10%
バッカスは2022年の病害の影響が他の品種と比べると少なく、春先によい花芽がつき、2023年は大丈夫だろうかという不安を一掃してくれました。初収穫となった2018年にバッカスがしっかりと実った嬉しさと感動を思い起こしました。バッカスは丁寧な手入れに対し沢山の実をならせて応えてくれる健気な品種です。果皮の弱さや、気候よっては糖度が上がらないという栽培上の難しさはあるものの、これからも大事にしていきたい品種です。
バッカス2023は口当たりが柔らかく、香りと余韻豊かなワインとなりました。夏の北海道の爽やかな風と透き通った水を感じさせるような出来上がりです。既に飲み頃かと思われますが、一年ほど寝かせると更にまろやかになりそうです。同時発売のバッカス2021との飲み比べをおすすめします。
② ルージュ2023 アルコール度数11%
2021年はピノノワールと赤品種のブレンドであるルージュを分けましたが、2023年は生産量が回復途上であったため、赤系の全品種を合わせてルージュとすることにしました。ピノノワールを主体とし、アルモノワール・ツヴァイゲルトレーベ・メルロー・ビジュノワールのブレンドです。ピノノワールの柔らかさや凝縮した果実感、豊かな酸が基本にあり、アルモノワールに代表される渋みやしっかりと骨格も感じられる仕上がりです。ブレンドすることで香りや味わいの奥行が広がったと感じます。
2024年はピノノワールと分ける予定ですが、これからもルージュは力を入れて更に進化させていきます。今後のハマダヴィンヤードは、これまで北海道で殆ど栽培されてこなかったような赤系品種を幾つも試験的に導入する予定です。北海道の風土により適した品種を見つける努力を続け、増やしていきたいという願いがあります。新しい品種を栽培する時のワクワク感そして結果を待つ時のドキドキ感・・楽しいものです。これから数年すると新たな品種がルージュに加わっていき、その味わいも広がりながら毎年のように変わっていくことになるでしょう。そのような変化もハマダヴィンヤードの探求精神として、温かく見守り応援して頂けましたらありがたく存じます。
③ ブラン2023 アルコール度数11%
ブラン2023はシャルドネとソーヴィニヨンブランの混醸と、ピノグリ・ケルナー・ミュラートゥルガウ・ピノブラン・リースリング・セイベル・モンドブリエの混醸との、2種のブレンドです。飲みやすくもしっかりとした味わいとブレンドが織りなす広がり感があり、余韻も豊かで心地よい酸を感じます。
当初は2021年のようにシャルドネとソーヴィニヨンブランとを単一ブランドとして復活させたいと願っておりました。ところがその思いを挫いたのが、前例のない北海道のぶどう畑を襲った大規模な鳥害です。北海道としては異例の猛暑残暑の影響で、本来なら南に渡っているはずのツグミなどの鳥が居残ってしまったのが原因だったと推測されます。ハマダヴィンヤードには10月後半から襲来し、わずか2・3日でシャルドネ・ソーヴィニヨンブランそれぞれ1トンばかりのブドウが食べられてしまいました。信じられないような目を覆いたくなるような事態でしたが、残っているブドウを慌てて収穫しました。ほとんど病果のない健全な房ばかりで、ゆっくりと完熟を待ちながら良い収穫を楽しみにしていただけにショックも大きかったのです。収穫量が大幅に減ってしまったために、バッカスを除く白系の全品種をブレンドすることになりました。ブラン2023が満足いく出来栄えとなったのは救いです。
道内の生産者の仲間たちと対策を話し合い、2024年は鳥よけネットを用意して備え、幸いにも全ての収穫を無事に終えることが出来ました。
ブラン2022と2023を味わうと、私共には一言では言えないような想いがこみ上げてきます。病気の蔓延と大規模な鳥害被害に翻弄された2年間でしたが、これらの困難を乗り越えて、ハマダヴィンヤードのブドウ栽培の経験と対応力は確実に上がったという自信につながりました。これからもさまざまな困難に出合うことでしょうが、高品質なブドウ栽培とワイン造りにたゆみなく取り組んでいきます。
2024年はシャルドネとソーヴィニヨンブランがそれぞれ単一品種のワインとして復活する予定です。一方、ハマダヴィンヤードのブランは2024年も作りますし、加わる品種も増やしながら発展させていきたいと思います。これからもルージュと共に応援していただけますと幸いです。
2024年11月2日 株式会社ハマダヴィンヤード取締役 濱田玲央
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